稲刈り

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「…おい!このまま帰れると思ったら、大間違いだ。お前にはやってもらわないといけないことがある!」 いきなり気道を塞がれ、古庄は激しく咳き込みながら、乱暴な姉を振り返った。 「まだ、稲刈りが残ってる。あれを手伝ってもらうぞ!」 「はあ?!」 古庄の表情は不服そうに歪んだが、真琴の目はその一瞬に輝いた。 「…稲刈り!?私、やってみたいです…!!」 どうも…、血を分けている古庄よりも嫁の真琴の方が、古庄家の人間と波長が合うようである…。 真琴もそう言い出して、古庄もしぶしぶ稲刈りをすることになった。と言うより、初めからこの晶には逆らえないのだが…。 晶に連れて行かれたところは、昨日晶が稲刈りをしていたところとはまた別の、山あいにある田んぼだった。 真琴は、昨日と同じく母親から借りた作業着に身を包み、初めての体験にウキウキして、晶の後を跳ねるように付いて行く。 「…何で今頃、稲刈りなんかしてるんだよ。普通はもうとっくに終わってる頃だろ?」 古庄の質問に、晶がしたり顔で返してきた。
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