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それから、古庄の動かすバインダのエンジン音が鳴り響く中、真琴は鋸鎌を使っての稲刈りと、竹で組まれた稲木に束ねられた稲を掛けていく作業に精を出した。
「こうやって干しておくと、コンバインで刈り取った米よりもずっと美味しくなる」
「へ~、そうなんですか~!」
古庄がバインダで刈り取った稲の束を集めてきては、稲木に掛けていく単純作業を繰り返しながら、真琴は本当に楽しそうだ。
そんな真琴の様子を見て、古庄も少し作業の手を休め、嬉しそうに微笑んで息を抜いた。
「こんな作業でも、一人でやるとけっこう大変なんだ。今日は手伝ってくれて助かったよ」
晶がそう言って真琴をねぎらうと、真琴は恥ずかしそうに肩をすくめた。
「私はいつも、和彦さんと一緒に何かできるだけで、とても楽しいんです…。それが、お義姉さんのお役にたてるのでしたら、もっと嬉しいです」
真琴の素直で可愛らしい物言いに、古庄は顔を赤くし、さすがの晶もいつもの毒気を抜かれてしまう。
「和彦は子どもの頃からやってることだけど、真琴ちゃんは慣れないことだったから、疲れただろう?明日の仕事に差障らなければいいけど…」
そんな晶の心配にも、真琴はニッコリと笑って応えた。
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