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「確かに、明日は筋肉痛になるかもしれませんけど、この苦労が美味しいお米になって食べられると思えば、これくらいどうってことありません!自然農で作ったお米、どのくらい美味しいのか、本当に楽しみです!!」
「……あ?……えっ?」
真琴のこの算段には、さすがの晶も目を丸くして、返す言葉に困ってしまう。
そんな風に調子を狂わされている晶の様子を見て、古庄は思わず吹き出した。
「真琴ちゃん。可愛いだけじゃなくて、案外しっかり者なんだな……」
畑中に散らばっている稲束を集めに、再び向かっている真琴の後姿を眺めながら、晶がポツリとつぶやいた。
「そりゃ、俺の嫁さんだから……」
古庄も微笑みながら愛おしそうに真琴を見つめ、その表情を幸せで満たすと、晶もそれによく似た穏やかな笑顔で弟を見上げた。
「お義姉さーん!もう稲を掛けられるところがなくなりましたー!」
作業に精を出す真琴が、遠くから叫ぶ。
「…それじゃ、稲木を足さないと…」
晶がそう言いながら、トラックの方へ向かう。
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