世界の真実

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  「あなたに用はないんですよ」 「おめえ、ずいぶんと高飛車じゃねえか」ガンビートが鼻を鳴らす。同族嫌悪というやつだろうか。オレはふたりのあいだに割って入った。 「あなたは――サオリコモンド隊長ですね」ひどく澄んだ茶色の双眸、穏和で上品な顔立ち、オレは女性をつぶさに観察する。これまでの隊長はタイトなスカートを履いていたけれど、目の前の女性だけはなぜだか白いショートパンツだった。すらりと伸びたなまめかしい足を、黒のニーソックスとブーツが包んでいる。なにより上腕に刺繍された五本のライン――サオリコモンド第五本部隊長を意味する。 「カンナ・バイツェードさん」隊長の垂れ目が鋭く光った。「あなたを第一本部に連行します」
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