世界の真実

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   一瞬――勝敗は一瞬にして決した。強烈な稲妻は双手へと導かれ、魔導陣をおびた雷珠が形成されていく。タンデムパルカが突きだした足をかわし、カウンターの要領でやつの口元へとねじ込んだ。生成途中の魔導陣は決壊し、全身を駆けめぐった電撃がタンデムパルカの体外へと放出される。やつは風船が割れたように弾け飛び、白い体液が辺りに飛散した。 「やったな、チビ」ガンビートの賛美の声がオレの耳を抜けていく。凄惨なタンデムパルカの残骸を一瞥し、オレはにっこりとほほ笑みかけた。「しかし、まずい話を聞いちまったな」 「ああ。それより、早く治療しないと!」ようやくガンビートの傷をかえりみるだけの余裕が生まれた。どくどくと鮮血があふれる酸鼻な傷口を眺める。やつの顔には脂汗が滲んでいた。
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