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そのときである。鬱蒼とした深い森に、小枝が折れる音がかすかに響いた。セリナかといって、ガンビートが反射的に振り向く。オレも安堵のため息をつき、バーストアップを解いた。
「稲妻のバーストアップ――これはあなたが?」
奇妙におちついた声音に驚いた。炎がくすぶる現場に現れたのはセリナではない。白い制服に身を包んだその姿は、サオリコモンドの人間であることを意味している。「あんたは?」
ガンビートが痛みに顔をしかめながらたずねた。目の前の女性――二十歳くらいだろうか。はちみつ色の明るい髪はていねいに巻かれており、透きとおった白い肌が純白の制服によく馴染んでいた。はだけたジャケットからは、黒のレースがのぞいている――が微笑する。
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