戻らない時を振り返る

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自販機でコーヒーを買って喫煙室に向かった。 今日はきっと狂喜乱舞した部下たちがお祝いに飲み会を開こうとか言い出すはずだ。 確かにみんな、この数ヶ月頑張ったもんな。 右も左もわからなかった新人が先輩たちの背中を追うほど、先輩社員たちはどんどん頼もしくなっていく。 上司の私はもちろん部下のフォローやアドバイスはするけれど、心の中では高みの見物だ。 次はどう動くのか、クライアントの希望をどんな形で実現させるプランを提示できるのか、毎日が面白かった。 たまに自信をなくしてへこたれそうになる者もいたけど、そこをなんとか掬い上げてやるのも上司の仕事だから、悩みを聞いて励まして、時には叱ったりもした。 部下たちのことは信頼している。 そうでなければ大きな仕事を任せるなんて到底できない。 この取り引きは実績のある他社に比べ、まだ歴史の浅い我が社にとって不利な状況から始まった。 みんなまだ若いけど仕事への情熱は人一倍だから、その一生懸命さと熱意にクライアントも心を動かされたのかも知れない。 ひとつのことに一生懸命に突っ走れる若さって素晴らしい。 数年前の私にもあの人に対してそんな気持ちがあれば、私たちは別々の道を歩むことはなかったのかも知れない。
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