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ガクガクと膝が震える。
肌が粟立って意識が遠くなる。
(なんで……? 俺のって事は……今朝、見られてたの……!?)
真っ白になった頭の中に、自分が蒼汰くんの体育館履きに顔を突っ込んでいる光景が客観的に映し出された。
その姿はまさに……ドヘムタイ!
ペタンとその場に座り込んで宙を見つめる。
なんて短い春だったのか……ちゃんと好きって言ってもらわないうちに、あたしの夢はスペシャルパヒュームと共にいきなり極寒の冬へと様変わり。
(ああっ……! もうこの上履きは永遠にクンクンできないっ……! ああああああああああああぁぁぁうう~!!)
残念なあたしは、蒼汰くんに嫌われた事よりも、ソッチのがキツかった。
(そうだ、今のうち! これで最後になるんだから、体育が終わるまでに堪能しなきゃ! そしてその記憶を永遠にこの体内に沁み込ませて……!)
かぶりつくように、手にした蒼汰くんの上履きに顔を押し付けた。
(ふおおおぉぉっ、やはり! やはりコレは体育館履きの比じゃない……! ゴムゴムしくて苦々しくてエグエグする味わい……チキン肌スタンダーーップ!!)
大きく息継ぎをしてもう一度上履きを顔に押し付けた、その時だった。
「えっ……すず? お前何してんの……」
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