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声にガバッと顔を上げると、そこには蒼汰くん。その後ろには当たり前のようにブタ山くんと……七瀬ちゃんまで。
「あ……あ、あ……はぁぅぁっ……!」
人間、本当に驚くと悲鳴なんか上げられないものなんだね。これも告白と一緒で初めて知った事だ。
「七瀬が、すずが居ないって言うから一緒に探しに来たんだけど……。まさか、上履きのニオイ嗅いでたのか? お前ってそういう……ヤバい癖が……?」
蒼汰くんの、怯えるような汚らしいモノを見るような歪んだ顔が涙で滲んでいく。
何を今さら、知ってるくせに。
それでもこんなドハマりの現場なんか見られたくはなかったけれど。
「マジか! 俺初めて見たよ、そういう趣味のヤツって。しかも女なのに……あっははは、スゲー! かなりヤッベエ!!」
嘲りの笑い、ぐるぐる渦を巻く。
ぐるぐる回って、どうかあたしの存在ごとどこかに消して欲しい。
あたしが全ての終わりを感じて目を閉じた、その時だった。
「……すーず。ちゃんとメモ見たぁ? 後ろも見てってつもりで矢印みっつ、書いといたんだけどぉ」
のんびりと間延びした声が頭の上に降る。
そして白くて太くてフカフカした指先が、あたしが上履きと一緒に掴んでいた例の付箋をつまんでひっくり返した。そこに綴られたメッセージは。
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