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「フン、そんなの却下。だいたい蒼汰、あんたさっき私のすずを笑って、泣かしたわよね? その時点で私の敵に認定よ」
「えええっ!? ちょ、待ってくれよ、笑ったのは悪かったよ。すずが内緒にして欲しいなら誰にも言わないし……頼むから敵とか言わないで!」
ツーンとそっぽを向いて取り付く島もない七瀬ちゃんに、蒼汰くんが必死になって取りすがる。
それを尻目に、ブタ山くんがヒョイとあたしの顔を覗き込んだ。
「すーず。別にすぐに返事が欲しいなんて言わないから。たださ、俺の気持ちちゃんと伝えたかっただけなんだぁ。……でも、絶対ムリならそう言ってくれて構わないよ」
おっとりと、でも少し不安げに、お肉の間のつぶらな瞳が揺れている。
あたしの手元にはこの人の上履き。
遺伝子レベルでの欲求を満たしてくれる、ゴム臭強めで苦くてエグくて、あたしの芯を虜にする上履き。しかもそれをのほほんと可愛いって言って認めてくれる……。
あたしは彼の瞳から目を離さずに、小さく首を振った。
「ううん、今言う。……よろしくお願いします、こんなへムタイでよければ……」
──そんなわけで、優しくておおらかで太っ腹な彼氏に、あたしは遺伝子レベルで夢中です♪
おしまい( *´艸`)
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