18人が本棚に入れています
本棚に追加
あああぁぁぁ~……たまんない……。ココ、最高のポジションだわ……。
すうぅぅ~~……むはぁ…………、ぬおぉっ!?
(イケない、今全身がゾワワッてした! このままじゃあたし、今にとんでもない大人になっちゃうかも……。でも……ぁふん……!)
「……ちょっと、すず。何、朝っぱらからヤバい顔してんのよ。誰かに見られたら絶対ヘンな誤解されるような」
涼やか(冷やか?)な声が背後からかかり、あたしは重ねられた大タイヤの筒の中から光速で振り返った。
「七瀬ちゃん! ……おはよ~。今日も美人だねっ」
「あくまでスルーか……。ま、別にいいけど。てかさ、一緒に登校するのに公園で待っててくれるのはいいんだけど、なんでいつもタイヤの中に入ってる訳?」
長い黒髪をサラリと後ろに払って、七瀬ちゃんは綺麗な眉をひそめる。
「いやぁ……あたし、人見知りだし、こういうちょっと隠れられる場所が落ち着くっていうか……、あっ! 待ってよ、置いてかないでー!」
あたしは女子高生にあるまじき大胆さでタイヤの筒を乗り越え、スタスタと前を行く七瀬ちゃんを追った。
七瀬ちゃんはクールビューティ、入学したばかりの高校でも既に『見つめられたら確実に五感を支配されるであろう女子NO.1』の呼び声も高い。
(それに比べてあたしは……)
チラッと今いた公園を振り返る。
最初のコメントを投稿しよう!