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名残惜しいのはあのタイヤたち。タイヤだけじゃない、家の勉強机に敷いてあるデスクマット、浮き輪、靴の底なんかもあたしを虜にしてやまない。
自転車屋さんなんかに行ったら、高校なんか辞めてソコで住み込みで働こうかとまで思い詰める。
もちろん筆入れやバッグなんかも、無意識にビニール製の物を選んでしまう。
そう、あたしはゴムの匂いが異常に好きな……たぶん、へムタイだ。
「全く、落ち着きのない子ね。そんなんじゃ、蒼汰くんともうまくいかないわよ?」
「ぴゃっ!? な、なななななんで急に、そ、そ、そうたきゅん、なんて……!」
ああやだ、声が裏返る。顔に血がギュンって集まって、一瞬で三倍くらいに膨張したかもしれない!
「だってすずの事、良く見てるし。あんたも気になってるんでしょ?」
七瀬ちゃんはなんでもお見通し。
さすが、小学校からずっと一緒の幼なじみだ。
「えと、その、気になってるっていうか……。蒼汰くんカッコいいし優しいし楽しいし気さくだし髪の毛サラサラだし白い馬とか似合いそうだし……」
「うん、もういい。ちょうちんブルマーに白タイツとか言い出しそうだから。……なんて、噂してるから。ほら」
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