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あたしの横っ腹を肘で小突いて、七瀬ちゃんが前方に目を遣る。
先の高架橋を渡り、蒼汰くんが仲良しの友達とおしゃべりしながら登校して来るのが見えた。
途端にあたしの胸がドドスコと乱れ太鼓を打ち鳴らす。
朝日に透ける少し茶色の髪。切れ長でちょっとキツイ目だけど笑うとすごく可愛い。
鼻もスッと高くて口元は……ああっ! ちょ、どいてよ隣のブタ山くん! アナタの巨体で蒼汰くんが見えな――い!!
「──お、すずーー! 七瀬もおっはようー」
ブタ山くんのお腹の陰から、蒼汰くんが無邪気に手を振ってくれてる。しかも朝の爽やかモーニングスマイル付きで!
「……まあ、人懐っこいところはすずと似てるしね。お似合いかもね、頑張りなさい」
そう言って七瀬ちゃんは、微笑みながらあたしの髪をササッと整えてくれた。
「うん。好きとか、まだわかんないけど……でもドキドキするから頑張る!」
高校に入ってすぐ、同じクラスの男子にトキメクなんてちょっと軽いかな?
でもあたしの高校生活の滑り出しは、すっごく充実してる!
「お、おはよう。蒼汰くん、双山(ふたやま)くん。ねえ今日の体育、マラソンだよ。最悪だよねー」
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