ラバー☆ガール!

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 まさか自分にこんな事が起きるなんて。こんな、嬉しいのに泣きたくなるような不思議な気持ちを知るなんて。 「もうさ、入学式の時から話す度にドキドキしっぱなし。明るくて元気なお前を……」 「そ、蒼汰くん、あたし……」 「──蒼汰ぁ? ナニやってんの、遅刻するおー」  下駄箱の陰からヌッと現れたのは大きなお腹、続いてその上に乗っかった色白ぽっちゃり顔が覗く。  あたしと蒼汰くんは咄嗟にスウッ……とすれ違って、それぞれの目の前にある下駄箱に貼りついた。 「な、なんだよ双山、お前日直だから先に行くって……」  そうだよブタ山くん! なんで居るのーー!? 「むふぉふぉふぉ。俺じゃなくて日直は蒼汰だったー、途中で勘違いって気が付いて呼びに来たぉ。すずもー、早く教室行かないと遅刻するぉー」 「……マジかよ。ああもうっ!」  やけくそっぽい大股で、蒼汰くんが階段を二段飛ばしで上がって行き、その後をブタ山くんが意外にも軽やかにホイホイっとついていく。  あたしは半ば呆然とその後ろ姿を見送った……けれど、胸の中のトクトク音は鳴り続けている。
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