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まだ真新しくて綺麗めな体育館履き。でもそれなりに結び紐も外側も、うっすら汚れが見て取れる。
逸る気持ちを抑え、そっと手を掛け持ちあげて……中にパフッと鼻先を突っ込んだ。
…………すうっ。
……………………すうううっ……むはー……すううううううっっっ……!
(………………新境地……っっ!!)
キッツいゴム臭が全身をギュンっと縛り上げ、得も言われぬさざ波が肌を渡る。そこに隠し味のように見え隠れする、苦いようなエグいような独特の芳香……。
(ナニコレ、こんなの初めて……っ!)
目に見えない手錠が、足枷が、そして首輪が、ガシャンガシャンと次々に音を立ててあたしの四肢にハマっていく。
囚われたのは、ゴム臭好きだけでは言い逃れの出来ないような……そう、異端のゴム臭(+α)フェティシズムの世界。
(……隠し通す……! こんな極上レアな上履きの持ち主、逃せない。うまくいけば、この匂いを一生! クンクンできる座を手に入れられるかもしれないいぃっ!)
決意も新たに、あたしは手にした蒼汰’S体育館履きにもう一度顔を突っ込んだのだった。
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