彗星の奇蹟

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懸命に働いて、クタクタになって会社を出ると外はやっぱり真っ暗で、私は疲れ果てていることを思い出す。 寒気がする。やっぱり厚手の上着を着てくれば良かった。 震えながら電車に揺られて30分。駅に着く頃には既に熱が出始めていると感じられた。 スーパーでお弁当を買ってそそくさとアパートに帰る。 ………本当はアーバンライフなどとは無縁の生活だった。 資格も持たないただのOL、お給料も少ない。 高い家賃を支払って、実家に仕送りして毎月の食費と光熱費に消えていく。カツカツの生活……… 数ヵ月に一度、同僚と居酒屋に繰り出すのが精一杯だった。 ………私は何のために此処に居るのだろう……… 結婚? 大学時代に付き合ったマサトはいいとこのお坊ちゃんだったけど、二股を掛けられた挙げ句に見事にフラれた。 会社に入って合コンで出会ったショウタはイケメンだし商社勤務のエリートだったけど、習慣で倹約してしまう私に嫌気が差したのかあっさりと別れを告げられた。 全ては高望みし過ぎた私のせい。 今頃になって気が付いた。 私には贅沢が似合わない。
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