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ドキドキしすぎるから、もう見たくないのに画面から目をそらせない。 「ちょっと、見かけた人に…すごく似てる」 「えっ、ウソ!知り合いって事!?」 「いや、知り合いって訳じゃ…ただちょっと話した事があるだけ。でも、こんなトコにいる訳ないよね」 「んー、どうだろ。元はネットで話題になったワケだから、この近くに住んでてもおかしくはないよな」 「そ、そんなコト!あるわけないだろ」 ドドドドド…鼓動がさらに早くなる。 もしかしたらあの人が…。 あの橋の上で落ちそうなくらい身を乗り出した僕を引き戻してくれた、あのお兄さんが…。 だって画面に映る『十-クルス-』とすごく…似てる。 いや、そんなわけないよね。 「なんだよ、ずいぶんムキになるな。もしかして、嫌いな奴に似てたのか?」 「え…嫌いってわけじゃ…」 「じゃ、好きなのか?」 「すっっっ好きって!?なに言ってんだよ。まだ一回しか会ったことない人なのに」 「…へぇ。そりゃそうだよな。まだ一回しか会ったことないなら、好きになるはずないよな」 ああ、もうなんだよ。なんでそんなすがめた目で僕を見るんだ。 セリフも棒読みだし。 「もう!変なコト言うなって。ほら、もう授業始まるから自分の席に戻れよ」 無理矢理会話を終わらせたけど、金剛は自分の席についても微妙な表情のまま僕を見ていた。
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