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更には心拍数まで上がって、呼吸が詰まりそうになり、胸までもが疼く。
しかし、カイトはその原因がこの男たち、このシチュエーションではないことだけは確信できる。
これはそう。まるで、
――恐怖?この場所への……?
人間の恐怖とは本能的に感じることが多数だ。
どれだけ自分が怖くないと思っていたとしても無意識下で怖がっていれば、いざその恐怖と対面したときには怖がってしまう。
カイトは改めて自分のいる場所を見渡した。
誰かが喧嘩した後だろうか血の付いた地面、さびれた雰囲気を演出するボロボロの壁、日の当たらない場所。
しかし、何も感じない。
血を見た時は少しざわめくものがあったがそれもすぐに消えた。
――思い過ごしか?
カイトは頭を振ってそれらのことを頭の中から振り落とす。そんなものは後から考えたら良い。とにかくこの状況では『今』が大切だ。
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