第三話『締まらない逃走劇』

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 ――その少女が目に入った瞬間、カイトを襲ったのは強烈な既視感だった。  まだ顔どころかスタイル、髪型すらもはっきり見れていないにもかかわらず彼女の雰囲気にカイトは見覚えを感じる。やがて、それは鮮明なイメージとなり頭に浮かび上がる。  それは―― 「うぐっ…!」  ――吐き気を催してしまいそうな程のドス黒い赤。  酷く粘着質でグロテスクなそれがまるで背景のように少女の背後に見える。
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