第三話『締まらない逃走劇』

4/19
前へ
/142ページ
次へ
 先程のイメージは置いといて、次にカイトの心に残ったのは――感動だった。  それなりにマンガやアニメを嗜むカイトにとって、完成された『美』というのは二次元の中にある。そんなカイトが今まで見てきた女性の中で一番だと断言出来るほどの衝撃を少女は与えた。  まるでアニメやマンガの作られた世界から飛び出してきたような感じだ。  顔はあり得ないほど小さいし、透き通るサファイアのように輝く瞳を携えた目はぱっちりしていて、鼻筋がスッと真っ直ぐ通り、キュッと引き締められた口は小ぶりな桜の花弁のようだ。 肌は白いが不健康さを感じさせず、スタイルは超モデル体型で抜群。流麗に伸びた白い髪は腰まで真っ直ぐだ。  幼さが残る顔だが、どこか気品があって大人びて見えるのに育ちの良さが伺える。  とにかく、見るもの全てを虜にする美貌だった。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加