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「びっくりさせんなよ。まさか本当に幽霊にさらわれたんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ。さあ、先を急ごう」
だが、やはり何も言ってこない。そればかりかレナはにやりと不気味な笑みを湛えると僕から逃げるようにルートを外れ、廊下の奥へと消えていってしまった。
僕は訳が分からず、その場で立ち尽くしていた。
あれは本当にレナだったのか。実はレナに化けた幽霊ではないか?そんな突拍子もない発想が脳裏を過った。
それでも僕は――。
「上等。早くこんな気味の悪いとこから抜け出して、レナを連れ戻してやる」
目の前にはレナを飲み込んだ漆黒の闇が大きな口を広げて待ち構えている。
僕はまたレナとこの場所に戻ることを強く胸に刻んで、レナの後を追った。
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