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2章)…………
「おーい、レナー!いるなら返事しろー」
ひたすらレナの名前を叫ぶが反応が返ってこない。しかもこの廊下、いくら歩けど歩けど終わりが見えない。
いくらなんでもおかしい。そう思い始めた頃、突如、進路に立ち塞がるおぼろげな人影が浮かび上がった。とっさに懐中電灯の明かりを向ける。
「レナっ!」
その人影の正体はやはりレナだった。
「見つかっちゃった」
レナは悪びれることもなく「てへっ」と舌を出すと、それに釣られて後ろの影もカクンと首が折れる。
すぐさま駆け寄ろうとしたが、ここで頼みの綱であった懐中電灯の光がふっと消える。
「嘘だろ?なんでこんな時に」
いくらボタンを連打してもつく気配がない。電池切れか?
辺りはすっかり闇に侵食され、何も見えなくなる。
「うふふ、そっちじゃないよ。こっちだよ」
レナの笑い声がすぐ横で聞こえた。目をやると、そこには見覚えのあるドアが一つあった。真っ暗だというのに何故かはっきりと視認できる。
「さあ、そのドアを開けて。私はその中にいるよ」
ドア越しにレナの声が響いてくる。この中にいるのは間違いないようだ。ドアに指をひっかけると、鳥肌が立つほどの違和感を覚えた。
これを開けたら取り返しのつかないことになる。誰かが頭の中でそう囁いた気がした。
ならここまで来て尻尾を巻いて逃げるのか?レナがこの部屋にいるのに?
少し逡巡してから、拳をぎゅっと握りしめる。
ここから出る時……。それはレナの手を握りしめてる時だ!
力一杯ドアを開け放つ。
すると、四角く切り取られた空間の向こうには信じられない光景が広がっていた。
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