3:ライン封印中

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まあBLだからラブはあるんだろうけど。やっぱり保留と決め、目的物を手にレジへと向かう。 レジには三人の店員さんがいて、うち一人は男性。俺は空いている女性の前に行き、本を差し出した。 店員さんのしているエプロンの肩ひも下には、アニメキャラクターの缶バッジがついている。その女性はレジへ本を通しつつ、口をぎゅっと引き締めた。わかるー。 今回の本、表紙が絡みまくってるからそれだけでもにやけるのに、買ってるの俺だもんね。妄想爆発してにやけそうになるの我慢するとき口に力入るよねー。わかるわかる。 ご期待通り腐ってますがご期待に反して恋愛対象は女性ですよ。趣旨替えしたら喜んでいただけそうだ。 カバーをしてもらった本を受け取り、いつものエスカレーター横の真四角な椅子に向かう。今日は比較的空いている椅子が多いな。 上りと下りのエスカレーターが交差する辺りの赤い椅子に、黒髪の男子高校生が座りスマフォへ視線を落としていた。 俺はその紺野くんの前まで行き、画面をのぞき込んでみる。紺野くんは少し顔を上げ、俺だと気づくと画面が見やすいように傾けてくれた。 「あれ、更新した?」 「ついさっき。更新ほやほやっすよ」 「おー、それは楽しみな」 紺野くんの横の白い椅子を足でズリズリとずらし、スマフォを取り出しながら腰かける。さっそくサイトを開く俺に、紺野くんが視線を向けてきた。 「千代田さんラインどうしてます?」 「入ってるけどほとんど見たことないね。同僚にもよく言われるんだけど、連絡は社内メールにしてって言ってるし」 「あー…ツイッターはどうしました?」 「フォローのみの呟きゼロ回だね。…紺野くんは?」 スマフォから顔を上げて紺野くんを見る。
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