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長い沈黙のあと、紺野くんは額から手を離し伸びをした。
「女ですね。千代田さんこないだ借りたラノベ面白かったです。あとこれ」
リュックから三冊の本を取り出し、こちらに差し出す紺野くんに、俺も横がけしている鞄から本を取り出す。
「俺もこの本楽しかった。自分じゃ鬼畜系買わないから新鮮」
「千代田さん純愛好きですよね。俺は逆に純愛系は買わないから」
お互いに本を交換して立ち上がる。
「しかし告白かー。なんだかこう、甘酸っぱいものを感じる」
下りのエスカレーターに乗り、うんうんと頷く。青春だ。紺野くんならモテる。無表情だから学生の中では大人っぽい感じが出るだろうし。
「俺としては喫煙所とか、残業ってワードにエロスを感じますね。リーマンかけるリーマン。いいっすねー」
身長差があまりないので、視線がばっちり合う。お互いわずかに口元を緩め、駅ビルを出てから別れた。
また来週、駅ビルの本屋で紺野くんと語らおう。
こんな話に付き合ってくれる彼には感謝しかないな。
10/20
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