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第三話:村娘、出会う
「ぜぇ……ぜぇ……。はぁ……はぁ……」
「可愛らしい反応でしたよ、ミナリー」
「ぜぇはぁ…………。さいですか……」
もうお嫁にいけない……。どことなく生き生きとした表情を見せるアリスとは対照的に、わたしはきっと死んだ魚のような目をしていることだろう。
「さて、ミナリー。まだ罪を認めようとはしませんか?」
「わたしの罪は、つまみ食いだけなの……?」
藪蛇だとはわかっているけれど、これだけはどうしても聞いておきたかった。
わたしは厨房で気を失い、気が付けば囚人服姿でこの地下牢で壁に磔にされていた。
つまり、彼女は知っているはずなのだ。わたしが服に忍ばせていた、毒薬の存在を。
「……その質問が、自らの立場を危うくするものだと理解しているのですか?」
「うん」
ちゃんと理解している。つまみ食いの罪を認めてしまった方が早く釈放されることも、罪が軽くなることも。
……けれどわたしは、一度はこの国の王の暗殺を決意したのだ。
村娘から暗殺者へとジョブチェンジしたのだ!
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