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そんな感じの、どこにでも居そうな男の人に対して、アリス・アリアスがうやうやしく一礼をする。
彼女にそのような態度を取らせられる人間は、この国に一人しか居ない。
「ご足労頂きありがとうございます、我が王」
シュテイン王国の国王。わたしが、暗殺しようとした人だ。
名前は……えーっと、何だっけ?
「こんな薄汚い地下牢まで申し訳ございません」
「気にするな、アリス。それで、彼女が俺を殺そうとした暗殺者か?」
「ええ。名はミナリー・ミナーセ。十六歳の、どこにでも居る村娘です」
王様はふむと頷いて、わたしの前に立つ。
「俺の名前はシュード・シュテインだ。この国の王をやっている」
へぇー、王様の名前ってシュードって言うんだ。初めて知ったかもしれない。
「我が王。自己紹介なさらずとも、いくら村娘とはいえ王の名はさすがに知っているかと。ましてや、彼女は貴方様を殺そうとしたわけですし」
「あ、それもそうか。さすがに暗殺者までが俺の名前を知らないなんてわけが――」
「ごめん、知りませんでした」
「「……………………………………………………………………………………………………」」
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