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第二話:村娘、捕まる
結果から言うと、失敗した。
薄暗く、ジメッとした空気が肌を覆う。陰鬱な雰囲気とかび臭さに包まれた地下牢。
わたしは拘束具によって壁に磔にされていた。
どうしてこうなった。わたしはただ、家族や村の人たちの助けになりたかっただけなのに。
お金が欲しかっただけなのに。お金が欲しかっただけなのにっ!!
何がダメだったの? 王様を暗殺しようとしたから? 報酬の九割を自分の物にしようとしたから?
わかった、家族や村の人たちのために働こうとしたからだ!
ここから無事に出られたら二度と働かない! 痩せ細った親のすねをかじって生きてやるんだ!
「先ほどから何やらくどくどくどくど申されているようですが、あなたは自分の立場をちゃんと理解しているのですか?」
凛とした……それでいてどこか艶美でもある声が地下牢に響く。その声の主は、わたしの目の前に立つメイド服姿の女性だった。
蝋燭の灯りが照らし出すのは、腰のあたりまで伸びた長く艶やかな黒髪に、メイドカチューシャをつけた美女。
顔立ちは整い、切れ長の瞳が相応の目力でわたしを見つめている。
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