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彼女を知らない者はシュテイン王国民でないとさえ言われる程の有名人。
王城のメイドであり、王国騎士団を束ねる騎士団長であり、王国魔術師団を束ねる魔術師長であり、王国の財政を切り盛りする財務大臣であり、王国の外交の要である外務大臣であり、国王の右腕である宰相であるところの彼女の名は――アリス・アリアス。
人呼んでメイド宰相。
「ミナリー・ミナーセ。ヒコン村の出身。十六歳。父の名はミナース、母の名はアンリ。ミナーセ家の次女で二人の兄と一人の姉、弟と妹を二人ずつ持つ。間違いありませんね?」
アリスはわたしの個人情報をスラスラと言ってのけた。
わたしが捕まってから、まだそう時間は経っていないはずだ。
それなのにここまで調べ上げるなんて、さすがアリスと言う他ない。
伊達に国民の間から『実質的な国家元首』と言われているだけある。
「…………間違いありません」
ここまで調べられちゃ否定しても意味がない。
「そうですか。では、あなたの罪状を示します」
彼女はわたしの眼前に立ち、羊皮紙に書かれたわたしの罪を読み上げる。
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