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一昨年のX'mas、初めて二人が結ばれた夜…あの時は、まだ、どっちも男の体だった。
そうなるときは、俺が真澄をって頭の中でシュミレートしてたのに、反対に俺がやられちまったという、なんとも言い難い展開に、頭に血が上ってしまった。結果的に、腹いせで、真澄のマンションに行ってから、あいつの体を逆に攻めまくった。
あの時とは、根本的に違う…。
真澄は、もう女で、俺の奥さんだ。
真澄の体には、あるはずの物がなく、ないはずのものがある。男のシンボルはもうない。代わりにあるのは、ふくよかな両の胸と、女性なら誰もが持つ生殖器…とはいえ、それは、あくまでも形だけで、子供が産めるわけでもないし、月のものがやって来るわけでもない。
偽物の見た目だけの女性じゃなく、笹森真澄として、本当の女性になりたかったんだ。
…長い時間掛かってやっとそうなれた。
「…真澄、いいか?」
「…うん。…もちろん。…優しくしてね、初めてなんだから。」
初めてじゃないだろうと言い掛けて、そうだ、女としては、初めてなんだと改めて思い出す。
「…わかってる。そっとだよな。」
俺は、好きな女性と、こんな風に夜を過ごしたいと何度思ったことか…。
真澄の反応は、厳つい男の反応じゃない。どこからどう見ても、女だよ。
息が出来ないくらいの長くて深いキスをした後、俺達は、何度も何度も唇を重ねる。何度も唇を重ねるうちに、吐息が喘ぎに変わる。
艶っぽい喘ぎは、俺の体の奥深い部分に眠っている獣を呼び覚ます。
躊躇なく柔らかな胸に手を伸ばし、わしゎわしゃと強く揉んだって、真澄は、嬉しそうな表情をする。
真澄の乱れていく姿に、間違いなく興奮して、ちゃんと体がそれに合わせて反応するんだ。
不思議なくらいに今の俺は、真澄の性別とか、性転換してる事実とか、真澄のすべてを受け入れられていて、全然、気にならない。
目の前にいるのは、俺が恋した女の子、桂花だ。
桂花は、真澄の仮の姿だったんだから、俺が、恋していたのは、真澄なんだよ。
俺の恋は、真澄と結婚したことで、成就したとも言えるんだよな。
俺の腕の中で、真澄は、歓喜の歌を詠っていた。
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