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真澄のすべては、幸せで満ち満ちていた。
ずっと想いを寄せていた海斗と付き合えただけでなく、結婚も出来たのだから。そして、自分の中の女の子としての気持ちを、押さえなくてもよくなった。隠す必要がなくなった。
戸籍の性別変更と、それにともなっての手続きが、すべて終わったわけではないけれど、世の中が、真澄はのような人間を認めてくれるようになってきたからこそ、一歩が踏み出せたのだ。
そして、今、真澄は、海斗の腕に抱かれている。
男としての体を捨てて手に入れた女の体は、作り物だけど、そんなの関係なく、海斗は、私を愛してくれる。耳元で、綺麗だと言ってくれる。
昂った気持ちが、体をさざめかせる。
「…はうっ…ああぁ…」
こぼれ落ちる喘ぎは、私の体の正直な声。
「…真澄…愛してるよ。」
私もよって、答えたいのに、溢れる声は、言葉になってない。
「…んんんっ…はぁはぁ…あっ…ううっ…はぁあぁ…」
海斗の男の部分と触れ合って、擦れあっている私の女の部分から、本当に快感が得られているのかどうか、私には、よくわからない…。
それでも…私の体は、反応するの。海斗が触れてくれている私のすべての部分が、幸せを持ってきてくる。
「…はぁはぁ…ごめん…俺、もうダメ…」
私の体の中で、仰け反り爆発する海斗を感じながら、私は、体も意識も、放り出した。
体の力が全部抜けちゃった。私は、荒い息をしながら、ぼおっとしていて消えそうになる意識を必死に掴んだ。
そして、隣に力尽きて倒れてる海斗の髪にそっと触れる。
「…海斗。ありがとう。…愛してるわ。」
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