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真澄は、次の日、自分のマンションへ戻った。
海斗と一緒に住むために、少しずつ自分のマンションの片付けるためだ。
「それじゃあ、仕事の帰りに、ここ寄るから。」
「うん。出来るだけ頑張って片付ける。」
「無理するなよ。引っ越しに必要なものあったら、連絡して、買い物してくるから。」
「わかった。いってらっしゃい。」
「いってきます。」
真澄が名残惜しそうな顔をしているから、海斗は、頬にキスをした。
「?!」
「じゃあね。いってきます。」
玄関扉が、パタンと閉まる音で、真澄は、我に返った。そして、キスされたところを手で触れながら、ニコッと笑った。
真澄は、 海斗と暮らす部屋を思い浮かべながら、必要なものと、不必要なものを分けていく。
普段から片付けをまめにやっているし、見た感じ物が少ない様に思っていたのだが、10年近く暮らした部屋の中には、あることを忘れていたものや、使わずにクローゼットや戸袋に入れていた物が、結構出てきた。
真澄が、ふっと気付くと、もう夕方に近く、部屋を照らしていた陽の光が、消えようとしていた。
「いけない。海斗が帰ってくるわ。」
とりあえず、今日は、このくらいにしておかないと、収拾がつかなくなる。
片付けに一区切り着いた頃、海斗が迎えに来た。
海斗のバイクの後ろに乗せてもらう。
割り振られているマンションの駐輪スペースに、バイクを停めて、それから二人で近くのスーパーへ、買い物に出掛けた。
こんな風に、ずっと海斗と居られるなんて、幸せだ。
二人の関係は、恋人止まりかな。なんて、思っていたのだ。それよりも、付き合えるかどうかさえ、定かではなかったのだから、その頃を思えば、まるで夢の様だった。
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