金木犀が香る街角で…

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私と海斗は、平凡じゃないな…。 「…今、自分達は、平凡じゃないとか、思っただろう。」 嘘ぉ~!!何でわかるのよ!! ちょっぴり焦る。 でも、きっとそれさえも、速水さんには、折り込みずみのことなんだわ…。 「平凡なんてのは、主観だ。これって正解がある訳じゃない。世間なんてな、みんないい加減なんだよ。各々が、自分は世の中の誰とも違うって思うし、逆に、小さなことで、世の中の人達となんら変わりがないと安堵をする。 自分の生活が、生き方が、平凡だって思えることは、幸せなんだぞ。 健康で、仕事があって、元気に働けて、人並みの生活が出来て、いつだって側に愛する人達がいる。これって、幸せだと思わないか? 側にいる愛する人が、男か女か、大人か子供か、そんなの関係ない。家族や友人が、手に届くところにいることが大事なんだ。 俺達みたいな波乱万丈な人生送ってても、一日一日の生活は、どこにでもある日常なんだ。つまり、平凡なんだよ。 なあ、真澄。よく考えてみろ、海斗との生活の在り方を。俺から見たら、二人は、十分に、幸せで、平凡な生き方してると思うがな。」 ああ、目から鱗ってこう言うこというのかな。 今まで、自分が、他人と違うことで引け目ばかり感じていた。そんな自分は、平凡とは到底縁のない生き方しか出来ないんだと思っていた。 海斗の友情も愛情も、体に隅々にまで染み渡っているのに、心の最後の一頁を開けなかった。 …そんな私の心を、不思議だ。この言葉は、全部こじ開けてくれた。 “平凡”は、私の人生の中で特別な言葉になった。
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