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笹森とは、卒業してから、メールのやり取りは、たまにしていた。でも、顔を付き合わすことは、この数年なかったから、会えることを楽しみにしていたのにな…。
桂花と名乗った女の子は、俺の気持ちを知ってか知らずか、マイペースだ。
「海斗君は、香澄の友達なんでしょ。だから、私とも、友達だよ♪」
「…君は、笹森の友達なの?」
「フフフ…さあ、どうかしら?私が、香澄の友達でなかったら、海斗君は、相手してくれないの?」
「笹森が来ないのなら、来ないで、構わないし、君が、あいつの代理だっていうなら、それでいいよ。
でもね、あいつは、俺に話したいことがあるから、会ってくれって連絡してきたんだよ。なのに…。」
俺の表情を見て、桂花は、とても悲しげな顔をしたんだ。
「ごめんなさい。あなたに、そんな顔させたかった訳じゃないのよ。
香澄は、私の気持ちを知っているから、話があるって、あなたを呼び出したの。
私、あなたのこと、ずっと前から、知ってるの。
私が、あなたに恋していることを、知ってるの。
だからね…気を効かせてくれただけ。
本当に、1回だけでよかったの。あなたと恋人の真似事をしたかったの。
今日しか、チャンスがなかったの。私ね、明後日には、この街を出ていくから…。」
今にも、涙が溢れそうになりながら、一生懸命、説明しようとしてくれる桂花に、俺は…。
「わかった。笹森には、今度、この埋め合わせをちゃんとさせる。今日しかないなら、仕方ない。
今日1日だけの恋人になってあげるよ。」
つくづく思うよ…俺は、なんてお人好しなんだろうって…。
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