35人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
俺の彼女は可愛い。いや、非常に可愛い。
十人中、十人が「可愛い」という程。
アイドル顔負けの美少女だ。
肌は透き通るようなもち肌。つけまつげなんて小細工しなくてもぱっちりした目に長くほどよくカールしたまつげ。鼻筋もすっと通って小振りな鼻に繋がっているし、唇はぽよんとグラマラスで柔らかそう。
思わず見入ってしまう可愛らしさ。
告白されたのは三ヶ月前。
同じ大学の学生で、同じ講義を何度か受けているうちに俺のことが気になってしまったらしい。
友達の友達のそのまた友達を経て、その友達から彼女を紹介された。
どうしても俺と話がしてみたくて、俺を知る友人を探しまくったそうだ。
そこまでして俺と付き合いたかったなんていじらしいじゃないか。しかもめちゃくちゃ可愛いし。
聞けば草食系男子が好きとか。
確かに俺は性欲薄い方だと思うけど、よく見た目でわかったなぁと感心してしまう。
草食系だからといって恋人とすることは肉食も草食も大して変わらない……と思ってる。
カラオケ行ったり、ゲーセン行ったり、映画を見に行ったり。
ついこの間なんて、付き合い始めてから三ヶ月記念日とかで、夜景の綺麗なダイニングバーで、ちょっと贅沢なディナーもした。予算オーバーでホテルに泊まったりは出来なかったけど、帰りには星空と夜景が一度に楽しめると有名な夜景スポットでキスもした。可愛かったし、抱き締めると自分より華奢な身体が愛しくて守ってあげたいなんてことも思ったけど。
……けど。
どうしても気が合わないことが一つだけあって……。
俺は大が付くほどのスイーツ好きなのに、彼女は大が付く程の甘味嫌いだったのだ。
「たっくん、午後の講義終わったら寄りたいとこあるんだけど、付き合ってくれる?」
「あ……ごめん。俺ちょっと今日は用事があって。明日じゃだめ?」
「えー。しょうがないなぁ。じゃあ明日でいいよ。約束ね」
「うん、まみちゃんごめん」
この日愛しの彼女に内緒で、どうしても行かなくてはならないところがあった。
駅前大通りを一本外れた裏通りにある、隠れ家的雰囲気のあるカフェで、夕方からアルコールを提供するカフェバーだ。
そこで本日限りの限定チーズケーキの販売があるらしい。
どうしても俺はそこへ行きたい。何せデンマーク産の高級クリームチーズを使った数量限定品。
最初のコメントを投稿しよう!