24人が本棚に入れています
本棚に追加
`
二人は群青の海の中へと、吸い込まれようにゆっくりと落ちて行きました。
「キーコさ~~ん! 海があんなに青いのは青い空を反射しているからですわよ~~」
「反射だって~~!?」
「そうなんですわよ~~~っ!」
「トート、たまには良いこと言うね~~見直したよーーー!」
二人はそんなことを言いあいながら、海面すれすれに到達しました。
「キーコさ~~ん! 快い風が海面を通りすぎて行きますわね」
「ああ…‥広い海が大きく穏やかにうねって、あたしらは小さな存在だな」
「波間に隠れてしまいますわね、私たち。
で、その指輪を……」
「この……太平洋のド真ん中に沈めるのさ」
キーコが水平に伸ばした腕の先には、指輪が摘ままれていました
「トート、この指輪を指先から 離すよ……」
「え、あ、ちょっと待って」
と、言う間もなく指輪はキーコの指先から離れて落ちて行くのでした。
トートは身を屈めて、その指輪の行方を追いました。
「キーコさん、指輪は瞬く間に見えなくなりましたわよ。あれでよろしかったのですね」
「ああ……あれでアニーとあたしは永遠さ……
さあトート、家に帰ってワインでも飲み明かそう」
「それはグッドアイデアですわねぇ」
`
最初のコメントを投稿しよう!