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キーコは、アニーと別れてから二十二年ほど経ち、
そのあいだに日本や世界は大きく変わって行きました。
「キーコさん! 起きてください、朝ですよーーー!!」
トートは、メェ~メェ~おかんによって、バッグから女性へと生まれ変わり、そう叫びました。
「はいはい、分かったよ、いま起きるよ~~」
「キーコさん、遂に日本とヨーロッパは一本のハイウェイで繋がりましたわよ」
トートは毛布を折り畳みながらそう言い、
「アニーさんも今年で三十五歳になった訳ですわね、逢いたいですか?」
キーコはトートを睨みました。
「ごめんなさい、睨まないで下さいな……
アニーさんとは、キーコさんが別世界で出遭った時と同い歳になったわけですわね」
「うん……
もう…あたしは別世界には行けないけど、
アニーはナズナさんとは幸せに過ごせたんだろうかね?」
「当たり前に決まってますよ、キーコさんには悪いけど、痛いっ!!」
「お前のその減らず口も品よく生まれ変われば良かったのにねっ!」
「減らず口はお互い様ですよ~~。
さあ、洗顔したら朝食ですよ~~」
女性に生まれ変わったトートは、おかんからキーコの世話をするようにと命じられ、
その言葉を聞いたトートは内心喜びました。
初めは口の利けないトートでしたが、少しずつおかんに改良されていったのでした。
二人は食堂のテーブルに着きました。
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