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アニーは、軍人らしくキリッと姿勢を正すとキーコに向かって敬礼をしました。
「ただいまキーコさん」
そこに映るアニーは、顔の火傷がなければ別人のようでした。
「おかえり……
お前はだいぶ出世のご様子だね、お姉さんは元気かい?」
「ジョリー姉さんなら……昨年死んだ……
洗脳された身体は、薬物に犯されていたんだ」
「そう……………産まれたジョリーさんのお子さんは?」
アニーは上空を仰ぎました。
「その子なら俺を運んできたヘリの操縦士。立派な軍人に育った」
「操縦士ですって! あの子は私の体内で産まれたのですわよ!」
「体内で産まれたぁ?
キーコさん、ひとつ訊きたいのだが、先ほどから俺にまとわりつくこの変な女性は?」
「まとわりつく変な女性、ですって! 酷いですわアニーさん」
「あははは……
変な女性は良かったわね。彼女はね、あんたとは長いお友達だよ」
「俺とは長い友達だと言うのか?」
アニーはしばらく考えてから顔を挙げました。
「じゃまさか、トートバッグのトート?」
「そうですわよアニーさん! バッグのトートですわよ!」
アニーの抱き合って歓ぶ姿を見ても、
(あたしのアニーではない……)
と呟くキーコなのでした。
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