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「旨い!」
ひと口、口に運んだオムライスを、呑み込まないうちにアニーはそう叫びました。
「旨いと言うより懐かしい味だろう、アニー」
「謙遜しないで姉さん、まことに旨いんだから。軍隊じゃカレーが主だ」
「カレー……砂漠だらけの国にお米なんか有るんか?」
「そうですわよ、お米は雨の降る地方でないとね~」
「二人とも、カレーイコール米じゃない。そう考えるのは日本人だけだ」
キーコとトートは顔を見合せました。
「カレーは何にでも合う惣菜だ、何でもカレーをぶっかける!」
「何でも……?」
「そう何でもだ。不味い物でも旨くなる!
たとえ毒でもカレーをぶっかけると喰える!」
「毒でもですか?」「嘘だろう?」
「嘘だよ! ワーッハハハハハ!」
「ったく、真面に聞いて損したよ」「そうですわよ」
「軍隊ではいつ死ぬか分からん、不安を紛らすために常に気を楽にしとくんだ。
姉さん、トート、遅くなったがこれが俺の家族だ」
アニーは内ポケットから一枚の写真を手にすると、テーブルの上に差し出しました。
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