24人が本棚に入れています
本棚に追加
´
ボナニーは、目の前で投手が投げたボールのようにして、別世界へと消えたのでした。
トートはその方を呆然としながら眺めていましたが、
「キーコさん、瞬きする間もなかったですわね」
と、キーコを振り向きました。
「ボナニーは別の世界へと飛ばされて………
で、キーコさんその油紙には何が?」
「うん……」
油紙を解いたキーコは、中の物を見せました。
「指輪に手紙……
手紙は分かりますけど、指輪は誰の?」
「この指輪はアニーのものだ。ほら、あたしのと対だろう」
「対の指輪を?」
「アニーは、ナズナさんと一緒になったんだ……
あたしとの指輪は必要ないよ」
「じゃその指輪を外して、捨てる訳にもいかず……」
「まあね……
アニーは我が子、孫……その子と……、2038年になったならキーコに渡すようにと、遺言を認めたんだろう」
「……あぁアニーさんの気持ちよ~~く分かりますわ~~~~~!
で、手紙にはなんて?」
キーコは迫るようなトートに眉をしかめるのでした。
´
最初のコメントを投稿しよう!