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「来週の土曜日にはここにいるんだ……」
新築同然のマンションのロビーは、どこを見渡しても手入れが行き届いていて高級感がある。
今住んでいるおんぼろアパートとは天と地の差だ。
「では今から契約書の準備をしますね。一度店に戻りましょう」
「はい!」
お先真っ暗だと思っていた私の未来。
でも、これから住む家が希望に満ち溢れていると感じた時から、少しずつ光が差していたように思えていたんだ。
******
「えっ?結菜、引っ越すの?」
「うん、もうそろそろ違うマンションに住もうかなぁって」
「へー、またこんな中途半端な時期にどうしたの」
「まぁ、色々と心境の変化ってヤツ?」
翌日の月曜日。
都心に本社のある大手家電メーカーの支店で働く、営業補佐の仕事の私と同期の佐々井知恵、そして同期の中で営業で唯一の男性社員の広瀬春哉と食堂でお昼休憩の時、さり気なく切り出した。
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