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「うわっ!失恋?!」
「ちょっと!声が大きい!」
隣に座っている知恵の口を自分の手のひらで覆い隠した。
そんな古典的な方法で塞いでいる私を見て、広瀬君は苦笑いをしている。
「嶺本さん、あの彼氏さんと別れたの?」
「うん、まぁ……」
「結構長かったんじゃない?あっ、あんまり話題に出したくないかな?ごめん」
「はは……」
広瀬君は日替わり定食の炊き込みご飯を上品に口に運びながら、申し訳なさそうに聞いてくれる。
恋愛話と合コンが大好きな知恵とは大違いだ。
「ぷはっ!でも別れてよかったじゃない!自分で会社を立ち上げたいためにフリーターしてる人だっけ?そんな人、いつ社長になるかわかったもんじゃないよ」
知恵たちには元カレがパチプロを目指しているなんて恥ずかしくて言えなくて、つい見栄を張ってずっと嘘をついていた。
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