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ベットの上で動けない私は、彼のキスを受けるだけ。 久々の優しいキスに、胸がキュッと締めつけられるような幸せを感じで、 彼の首の後ろに手を伸ばそうとしたところで、 廊下からカラカラ…と、鳴り響く音がドアの入口で止まった。 それは、いつもおやつを配ってくれるスタッフの人が大部屋の入口までカラカラとワゴンを引いてきた音だと瞬時に気づいた。 首に回しかけた手を、咄嗟に引っ込め、彼を押し離した。 一番入口側にいる私が一番初めに名前を呼ばれて、焦りつつも、平常心を装って返事をすると同時に、カーテンが開かれて、薬缶をもったオバちゃんが入ってくると、 彼は、何もなかったかの様にベットの横に既に姿勢よく立っていて会釈をする。 「あら、今日はご主人きてくれてたのねー」 オバちゃんが、足元のテーブルの上のお盆の上に伏せてあるマグカップにお茶を入れてくれる。 「はい、ありがとうございます」 私の後に続けるように、彼もお礼を言って、頭を下げた。 「ありがとうございます。」 オバちゃんが出ていくと、椅子に腰掛けた彼が、私と目が合うと、 「仕切り直して、もう一回する?」 と耳打ちしてきた。 あと数秒タイミングズレてたら、オバちゃんに見られてた。 思い出して、耳まで真っ赤になってしまう。 「次また、おやつくるから駄目だよ。」 両手を大きく振って、全力で止めると、 「そんなに拒否しなくても、もうしないよ。」 と言って笑った。
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