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昼過ぎ、トイレを済ませて、部屋に帰ろうと廊下を歩いていたら、部屋の前で彼が立っていた。 入口の表札を確認していて、まだこちらには気づいていない。 「来てくれたんだ?」 すぐ隣まで行って、話しかけると、 「歩いてるし」 と、大きな目をさらに大きくさせて言った。 「たまたま!トイレだけだよ。もう、ずーっとベッドの上で、あとは寝たきりだったんだから。」 私が弁解すると、 「知ってる。よく頑張ってるね。 居ないから、部屋が変わったのかと思って、間違えてないか確認してた。」 とクスって笑って言った。 ベッドに戻ると、持ってきてくれた着替えをロッカーにしまってくれて隣に座った彼。 「なかなか来れなくてごめんね。午後休とれたから、今日はずっといれるよ。」 「ありがとう。」 久々に彼の優しい顔を見て、 あぁ、私は、彼に会いたかったんだなって実感する。
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