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初の海外旅行の、最初の夜から最悪な気分だった。
今、僕は蒸し暑い深夜のホテルのロビーで女の子と友人の行為が終わるのを文庫本を読んで待っていた。
ロビーにはクーラーはなく、業務用の扇風機で暑さをしのぐしかない。
普通の海外旅行のつもりが僕だけが不遇な状況に置かれているのには理由があった。
遊び半分で行ったゴーゴーバーで友人が一目惚れした女の子をこともあろうに【お持ち帰り】したのだ。
僕と友人は予算を削減するために一つの部屋をシェアしていた。
だから女の子を連れ込むのは面倒だから、まあ記念がてら見るだけ見に行ってみよう、と言っていたのに……、全く人の欲は理性的じゃない。
友人は二人でヤろうなんてクレイジーなことを言っていたが、僕は断ってホテルのロビーで時間をつぶすことにしたのだった。
日本から持ってきていた文庫本を四分の一ほど読み終わった頃、部屋のドアが開いて女の子だけが出てきた。
行為と支払いは既に終わったようだった。
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