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窓の外では、明るい夏の日差しが町にふりかかり、刺すような暑さを振りまいている。
そんな景色をぼんやり眺めながら、竜也は一人物思いに耽っていた。
──あの女性の声は、一体誰なんだろう。
学校が夏休みに入って以来、竜也は毎日のように声を聞いていた。録画されたように無感情な、のっぺらぼうの声。
暑さでボーッとしているためだろうか、寝ているわけでもないのにその声は頭の中で響き、夢か幻のような不思議な感覚を竜也に与える。実際、夢か現かの区別もない。
当然、その正体もつかめずにいた。
「はぁ……」
思わず漏れた溜め息。それと同時に机に伏そうとすると、手が置き時計にコツンと振れた。
何の気なしにそれを手に取り、時間を読む。
「二時か……って、二時!?」
驚いて凝視した時計の針は、確かに二時三分前を示していた。
「やべ!!」
そう叫ぶと、竜也は慌ててイスから飛び下りた。しかしその拍子に、足の小指を自分の机の脚に、思いっきりぶつけてしまった。思わず、声にならない叫び声が喉からもれる。
竜也は痛みに堪えながら、急いでバッグを取って部屋を出た。
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