2 私の現状

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2 私の現状

この頃の私は、未だ学生だった。高校を卒業して、大学を卒業して、就職という道ではなく専門学校進学という道を選んでいた。  少しの勉強とアルバイトと遊ぶことしかしてこなかった大学生活とは違い、朝から夕方まで勉強し、まさに規則正しい専門学校生活。慣れるまでは大変だったけれど、自分で選んだ道。知識を習得することは楽しいし友達も出来た。試験で思うような点数が取れなかったり、自分の思うよう上手く行かなかったり、人間関係に悩んだりもした。この道を選んだことを後悔する日が無かったといえば嘘になるし本気で逃げ出そうとしたこともあった。だけど、充実した毎日だったと今は思うことができる。  ただ、世界が違いすぎる痛感し葛藤した。  中学の友達、高校の友達、大学の友達、みんな同じ年で同じスタートラインに立っていたはずなのに、みんなみんな全く別の世界を持っている。そんなこと当たり前だし、同じ世界でずっと生きていけるわけない、そんなことは分かっている。何が言いたいかというと、私の世界は孤立してしまったということ。  二十二歳で大学を卒業後、大学の友達は就職した。「働くってやっぱり大変だよ」そう言われても私にはわからなかった。一年が経ち「新人が入ってきて先輩っていう立場になって一層仕事が大変になったよ」と言われても私にはわからなかった。そしてまた一年が経ち「そろそろキャリアアップしたいんだ」と言われても分からなかった。高校の同級生は、私が大学専門と学生生活を送っている間に、社会人となり結婚し寿退社をし二人の新たな命を産み育てている。その同級生は幸せそうに「息子にお金がかかる」と悩んでいた。  人はひとりひとりの世界を生きていて、同じ世界に生きられるはずがないことくらい分かってはいるけれど、私とみんなはあまりにも世界が違いすぎていて、生きている上で必然的に持つはずの「悩み」すらも共有することができない。私が今後得るはずの「悩み」を、みんなは先に経験し答えを見つけ、その先へと進んでいる。私はみんなより遅れている世界に生きているのだと、痛感してしまった。 「取り残されている」と、どうにもすることができない感情に少し悲しくなる時もあった。でもこの話をあなたに話したとき、あなたは「分かるよ」と言ってくれたね。  そして「でも」と言ってくれたね。
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