カボチャ頭のナナとキキ

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「おばあちゃん、元気だった?」ナナがお母さんの右手をとって、 「久し振りだね、おばあちゃん!」と、キキは左手をとります。 「ええ、ええ、本当に。あなた達も元気そうで、おばあちゃん嬉しいわ。」 お母さんは、呼び方を直すことはありません。 数年前から、ナナとキキはお母さんを“おばあちゃん”と呼ぶようになりました。 「ふふ、この子達ったら。“お母さん”でしょう?一年会わない間に忘れちゃったの?」 イタズラが好きだった二人のことです。きっと、ふざけているんだと思いました。 でも…。 「あら、そうだったかしら。でも、ワタシ達のお母さんは、もっとずうっと若いのよ?ねえ、キキ。」 「そうだわ、ナナ。それに…ワタシ達カボチャ頭だから、すぐに忘れちゃうの。」 ニブイ音をさせて頭をぶつけ合いながら、二人はコロコロと笑います。 お母さんは思いました。 ああ、この子達はもう、私の知っている二人ではないのかも知れない。 いつか“おばあちゃん”とも呼んでくれなくなって、ここにも帰って来られなくなるかもしれない。 そうして全部忘れてしまうんだ。 そして、カボチャとワラのお人形が、動いてくれなくなる日が来るんだと。 それからは、二人が呼ぶままに、自分も年を取っていこうと決めたのです。
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