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“トリック・オア・トリート!トリック・オア・トリート!さあさ、お菓子にしておくれ!”
なにやらおかしな歌にのって、パレードは進みます。
列を引き連れているのは、二人の女の子。
カボチャの頭にワラの体、かわいらしい黒のワンピースを揺らしながら、バトンとハタを回しています。
バトンの子がナナ、ハタの子がキキ。二人は双子の幽霊です。
毎年こうして、“顔のない”カボチャ達の目になって、パレードを率いるのです。
「さあ皆!もう少しでおばあちゃんのキッチンよ!」とナナが言えば、
「頑張れ、頑張れ!もうちょっと!」とキキが励まします。
彼らの進む道の両脇には、
町の子供達に顔をもらったジャック・オ・ランタンがずらりと並び、目的地までの足元を照らしてくれています。
“トリック・オア・トリート!トリック・オア・トリート!さあさ、お菓子にしておくれ!”
ナナとキキ、他のお化け達に加えて、ジャック・オ・ランタンも一緒になってパレードを囃したてます。
と、少し先の小高い丘の上に、小さな家が見えてきました。今夜、この町でたった一つの生者の明かりです。
家の前では、背中を丸めた白髪のおばあさんが手を振っています。
「あ!おばあちゃんだ!」ナナがバトンを振ってこたえます。
「おーい、おばあちゃーん!」キキは、ハタをくるりと回して得意そうです。
「ナナ、キキ!おかえりなさい。」その声に、二人は走りだしました。
『おばあちゃん、ただいま!』
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