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────もう何年も、何年も前のこと。
ナナとキキは、この町の子供でした。そしておばあさんは…二人のお母さんでした。
二人はとてもやんちゃで、
男の子とケンカをすることなんてしょっちゅうの、いわゆる手が焼ける子でした。
イタズラも大好きで、この小さな町の大人には、一通り怒鳴られたんじゃないかしら。
けれどその人懐っこい笑顔に、最後には“もうするなよ”と、大人達は頭を一つ撫でるのでした。
そんなナナとキキにとっても、ハロウィンは大きな楽しみでした。
「お菓子かイタズラかなんてつまらないわ。ねえ、キキ。」
「そうよ、ナナ。ワタシ達、お菓子もイタズラも我慢なんかしないもんね!」
ハロウィンを数日後に控えて、二人はもうそんな話をしていました。
衣装もすっかり揃えて、準備は万端。今日も朝からそれを着て、近所を駆け回る始末。
「ハロウィンまでなんて待っていられないわ!ねえ、キキ。」
「そうよ、ナナ。ワタシ達、せっかくこんな格好をしているんだもの。イタズラをしなくっちゃ!」
お母さんが作ってくれた、綿の詰まったカボチャの頭に、黒いワンピース。
顔は、ナナとキキがフェルトを切って自分達で付けました。
双子のジャック・オ・ランタンです。
だから…誰に、どんなイタズラをするのかは最初から決まっていました。
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