カボチャ頭のナナとキキ

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二人のお家がある丘の下には、畑がひろがっています。 その一番向こう側はカボチャ畑。そこでは、ある青年が働いていました。 彼は、なんだかぼんやりしているところがあって… それに、いつもにこにこ笑っているからか、よく二人のイタズラの標的にされていました。 ちょっとくらい怒られたって“ちっとも怖くないもん”って、何度も。 今日も、彼になにか仕掛けてやろうというのです。 「あいつの畑に隠れて驚かしてやりましょうよ。ねえ、キキ。」 「そうね、ナナ。今日のワタシ達はすっかりカボチャだもの、きっと気付かれやしないわ。」 二人は、彼を驚かせる瞬間を思い描いて、カボチャ畑に身を潜めます。 服が汚れるのもお構いなしで土の上に体を伏せると、 不思議と二つの綿入りカボチャは、周りに紛れて見えなくなりました。 「びっくりするわよ!きっと。」 「びっくりするわね!きっと。」 …うまくいくと思っていました。 いつもみたいに“わあ!”って驚く声がして…そうしたら、あっかんべーして笑って逃げるの。 そう思っていたのに…。 二人は忘れていたのでしょうね。今が秋だということを。 もうすぐハロウィンですもの。 すぐそこまで、悪い精霊が来ていることだって、あるかもしれないっていうのに。
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